『ユミ&ソウスケ ふたりはまほうつかい!2 まほうをつかってはいけません!』 著:鋼雅 暁 イラスト:MIYU 価格:100円  レーベル:詠月文庫

※こちらは、夕霧文庫の企画「キッズドリームプロジェクト」参加作品です。表紙イラストをMIYUちゃん(6)が描きました。

【冒頭試し読み】

目次

まほうをつかってはいけません!

【とうじょうじんぶつ】

新城ユミ(あらしろゆみ)…6さいのおんなのこ。まじょ。げんきでやさしいおねえちゃん。ようちえんのバラぐみさん。

新城ソウスケ(あらしろそうすけ)…3さいのおとこのこ。ユミのおとうと。げんきいっぱいなまほうつかい。ほいくえんのゾウぐみさん。

 

まほうをつかってはいけません!

あるあさ。
ユミのいえでは、ママがしんしつのドアをあけて、ぼうぜんとしていました。
「どうしてしんしつで、きんぎょがおよいでいるの!」
しんしつは、おみずがいっぱいになっています。
そして、とてもとてもおおきな、あかいきんぎょがにひき、ゆったりとおよいでいます。
「もしかして!」
ママは、リビングのまどぎわにおいてある、きんぎょのすいそうをのぞきました。
そこには、ペッペとポッピという、にひきのリュウキンがいるはずなのですが――。
すいそうは、からっぽです。
「ああ……やられた……」
ママはあたまをかかえました。
きのうのゆうがた、スイミングスクールからかえってきたユミが、
「きんぎょのせなかにのって、す~いすいっ! ておよいでみたいな」
といっていたのをおもいだしたのです。
ふたりはそれを、じっこうしたのでしょう。
「あ! ママだ!」
ユミがうれしそうにいいました。
「ママ! おはよう」
「おはよう……ふたりとも、これはどうしたの?」
おぼえたばかりのクロールでユミがちかよってきます。
「めざましがなるまえに、ちゃんとおきたよ!」
「そ、そうね。えらいね」
ママのめのまえを、ゆったりときんぎょがつうかします。
おびれがしろいピッピのせなかには、ソウスケがのっています。もういっぴきのポッピは、つんつん、と、ユミをつついています。
「くすぐったーい」
ポッピといっしょに、ユミはおよいでいきます。
ママはためいきをつきました。
ここさいきん、ふたりのまほうがぐんぐんじょうたつしていました。
そして、ことあるごとにまほうをつかいたがってこまっていたのですが、まさかここまでできるようになっていたとは。
ママは、うでにつけたとけいをみました。
そこには「まほうメーター」がついていて、ふたりのこどもたちの「まほうざんりょう」がわかります。

ユミ…48%
ソウスケ…42%

これだけのおおがかりなまほうをつかったら、ふたりともまほうが0になってもおかしくありません。
しかし、はんぶんちかく、かいふくしています。
どうやら、ずいぶんまえからおきて、きんぎょとあそんでいるようです。
「ふたりとも!」
へんじはありません。
「きょうはようちえんとほいくえんのひですよ」

すい~っ……
すいすい~っ……

「きんぎょをいますぐ、もとにもどし……」
「やだっ! そえーっ!」
ごきげんなソウスケがさけぶと、おおきなきんぎょのえさが、

ぽかん! ぽかん!

と、うかびました。
きんぎょたちは、えさにむかってすすみます。

ばくんっ、ばくんっ!

「きゃー、あはは!」
ペッペにえさといっしょにかじられたユミが、たのしそうにわらいます。
ポッピがユミをせなかにすくいあげて、ゆったりとおよぎます。
「ふたりとも、あさごはんがもうすぐできます! おみずからでていらっしゃい!」
「やだっ! そえーっ!」
もういちどソウスケがさけびました。
つぎのしゅんかん。
ママもみずのなかにひっぱりこまれてしまいました。
うずができて、ぐるぐると、かいてんしてしまいます。まるで、せんたくきにほうりこまれたかのような、うずです。
「うっ……」
もがもがっ……と、おもわずいきをとめたママ。
「ママ、だいじょうぶー?」
ユミにきかれて、ママはふしぎそうなかおになりました。
みずのなかだというのに、ユミのこえがはっきりきこえます。
「あれ? いきもできる……」
おもえば、ユミとソウスケは、みずのなかでも、じゆうじざいにかいわをしています。
それに、いきつぎもしていません。
「ああ、そうか。これは、まほうのおみずなのね……」
こどもたちの『まほうレベル』がどんどんあがっているようです。
「そういえば、ママのきんぎょがないね……」
ソウスケがいいました。
「じゃあ、ソウくん、ばぁばのところからピッピをよびよせよう!」
「いいね!」
ユミとソウスケは、ママが、
「けっこうです!」
というまえに、
「それーっ!」
とこえをあわせてしまいました。

ぼん!

と、すがたをあらわしたのは、ばぁばのおうちでかっている、コメットのピッピです。
こちらは、うえはんぶんがしろで、したはんぶんがあかい、およぎがとくいな、きんぎょです。
「あれ? おねーちゃん、ピッピちいさい……」
「ほんとだね。どうしたんだろう?」
ママは「まほうメーター」をちらりとみました。

ユミ…6%
ソウスケ…2%

ふたりともまほうがたらず、ピッピをおおきくできなかったのでしょう。
「……ふたりとも、みずあそび……うーんと、きんぎょあそびはおしまいです」
ソウスケが、むっとしたかおをしました。
「やだっ!」
「やだじゃありません。さあ、ほいくえんにいくよういをします」
「……うーしゃい! そえーっ!」
なんと、ソウスケはママのくちを、まほうでぬいつけてしまいました。

(続きは製品版でお楽しみ下さい)